食品表示の作り方を管理栄養士が解説

食品表示の作り方を管理栄養士が解説 食品表示の作り方

「食品の通販を始めたいけれど、表示ラベルはどうやって作成するの?」
食品表示は消費者が安心して商品を選ぶための重要な情報源です。一方で、食品表示のミスが消費者の健康被害や回収のリスクに繋がるため、慎重な管理が必要です。
今回は、実際に食品表示に関わる業務に携わってきた管理栄養士が食品表示の作り方や注意点について解説していきます。

食品表示に記載する内容【一般的なルール】

食品表示ラベルには食品表示法に基づいたルールがあり、記載必須の項目が多くあります。

  1. 名称
  2. 原材料名(添加物、アレルギー)
  3. 原料原産地名
  4. 内容量
  5. 期限表記
  6. 保存方法
  7. 製造者/販売者

上記に加えて栄養成分表示も義務化されました。

栄養成分表示は
①分析によって得る値
②計算等によって得る値 のどちらかで作成します。

計算等で栄養成分値を表示する場合、原材料に使用されている食材の全ての栄養成分の確認と、配合重量に沿った正しい栄養計算を行わなければなりません。
私自身は栄養計算ソフトを使用して作成していましたが、原材料のすべての規格書を取り寄せてソフトに入力して計算して…というのは手間がかかる作業でした。また、取り寄せる原材料メーカーの仕様変更が意外と多く発生し、その都度入力して再計算をしなければならず、扱う商品も多かったため頻繁な確認作業が必要でした。
使用されている原材料が多いほど計算上のミスが出やすく、確認する量も増えて作業が複雑化していくので注意して対応しなければなりません。

〈例〉

食品表示には上記の必須項目に加えて、食品ごとに詳しいルールが決められています。

今回はその中でも、食品表示の対応で悩むケースが多い内容を紹介します。

① 原産地表示

「産地表示」は2022年4月に義務化され、国内で製造・加工された全ての加工食品に原料原産地表示をする必要があります。
使用した原材料のうち、最も重量割合が大きい原材料の原産地名を表示します。
●生鮮食品の場合:国産品は国産である旨、輸入品は原産国名 例:牛肉(オーストラリア)
●加工食品の場合:国産品は国内製造、輸入品は○○製造 例:レモン果汁(イタリア製造)

原産地が複数ある場合・・・重量割合の高い原産地から表示します。原産地が3つ以上ある場合、重量割合の高い順の2つを表示し、「その他」と表示できます。
●「又は表示」原産地として使用可能性がある複数国を、見込まれる重量割合の高い順から「又は」でつないで表示する方法を言います。

●「大括り表示」
3か国以上の外国の原産地表示を「輸入」とまとめて表示する方法を言います。
輸入品と国産品が混ざっている場合は、どちらか重量割合の高い方から表示します。

●「大括り表示+又は表」
過去の使用実績等から、3か国以上の外国の原産地表示を「輸入」とまとめて表示したうえで、「輸入」「国産」を、使用見込みの重量割合の高い順に「又は」で表示する方法を言います。

原産地表示は消費者の方に確認されるケースが多い項目なので、ミスがないように作成する必要があります。また、栄養成分表示同様、仕様変更の連絡を受けることが多い内容です。私も表示ラベルを担当し始めた頃、複数の商品で同時に産地変更の連絡を受け、作業に追われて1商品の産地変更にミスが発生してしまったことがあります。幸いにも出荷前だったので倉庫に行き、表示ラベルを貼りなおすという対応が出来たのですが(それでも会社には非常に迷惑をかけました)、出荷後に発覚していたらと思うとぞっとします。ダブルチェック、トリプルチェックの体制を取ることの重要性を感じました。

②複合原材料

2種類以上の原材料からなる食材(ケチャップやカスタードクリームなど)を言います。
例:醤油、ケチャップ、カスタードクリーム、ハム、鶏の唐揚げ…など

使用する場合、複合原材料名の後ろに()で複合原材料の原材料を表示します。(例2)
しかし、原材料を全て記載している商品はほぼ見ないと思います。
なるべく表示内容を減らすために、下記の対応で省略をしているケースがほとんどです。

  1. 複合原材料が3種類以上で、配合順位が3位以下、割合が5%未満のものは「その他」と表示可能(例3)
  2. 複合原材料が製品に占める割合の5%未満の場合は、省略可能
  3. 複合原材料の名称からその原材料が明らかである場合は、省略可能(例4)

複合原材料は簡単かと思われるのですが、全体の総重量から、使用されている複合原材料が何%を占めているかを算出する必要があるため、意外と作業に時間がかかります。私も作成当初は、しっかり計算が出来ていても、「本当に省略していいよね…?」「これは名称から明らかに分かると言えるかな…?」など不安になりながら表示内容を決めており、いつも心配になりながら対応をして胃が痛かったです。

③キャリーオーバー

食品添加物には添加物の種類によっても個別の表示ルールが決められているため、対応に悩むことが多いと思います。その中でもキャリーオーバーの対応はよく悩まれることが多いのではないでしょうか。

キャリーオーバーとは
⑴食品の原材料の製造又は加工の過程において使用され、
⑵当該食品の製造又は加工の過程において使用されず、

⑶当該食品中には、当該添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの

簡単に要約すると、原料中には含まれるが、使用した食品には微量で効果が出ないものを言います。
例えば、惣菜を製造する際に使用した醤油に保存料が含まれていても、その保存料が惣菜の保存性を高めるための効果が発揮されない量であるためキャリーオーバーとなります。
しかし、含有量が少なく、表示しなくても良いと判断できるキャリーオーバーの中でも、以下に該当する場合は表示が必要となるので注意が必要です。

・五感(味・色・香り・・・)に関わる添加物の使用
・特定原材料7品目に由来する添加物の使用
・形が残っているもの(サンドイッチのハム等)
・最終製品までその効力を発揮するもの

キャリーオーバーに関しては、「なるべく省略したいけれど、どこまで記載するべきなのか分からない…」という声を多々耳にします。省略したいけど分からないから全部記載する…となると、効果が発揮されないものまで記載し、添加物の記載内容が多くなるため、消費者が「こんなに添加物が使われているのか…」と不安になってしまいます。
しかし、キャリーオーバーの扱いとするか否かの判断にあたり、明確な基準というものはなく、製造者や販売者の判断によります。

私も当初はキャリーオーバーの判断が難しく不必要なものまで全て記載し、添加物の欄にびっしり書いていました。ルールとして違反ではないですが、商品の口コミには、「物はいいけど添加物がたくさん入っていてリピートは無いかな…」と書かれてしまい、これはまずいと思い知識を付けるまでは外部機関へのチェックを依頼したことがあります。

昨今は添加物への意識が高い消費者も多く注目されがちな項目なので、ルールを熟知してミスのないように記載することが非常に大切です。もし判断に自信がない場合は、外部機関に委ねるという対応もオススメです。

④ 遺伝子組み換え表示

「遺伝子組み換え表示制度」が2023年4月から改正されました。より厳格になったため、内容を理解して対応する必要があります。

「遺伝子組換え表示制度」とは、安全性が確認された9の遺伝子組換え作物と、それを原材料とした33の加工食品群について、食品表示基準に基づいて定められたルールです。
代表的なのは、大豆が原料の豆腐や納豆、油揚げ、みそ等があります。

加工食品は必ず記載が必要というわけではない

加工品の原材料として表示義務があるのは、原材料に占める割合が上位3位以内で、且つその食品に占める割合が5%以上のものに限られています。

「遺伝子組換えでない」表示の基準は?

「遺伝子組換えでない」表示
分別生産流通管理をして、遺伝子組換え産物の混入がないと認められる大豆・とうもろこし、それらを原材料とする加工食品

「分別生産流通管理済み」表示
分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆・とうもろこし、それらを原材料とする加工食品

遺伝子組み換え作物の混入はどう確認するの?

第三者分析機関による分析、栽培・管理体制を証明する書類が必要です。
しかし、書類などで証明されている場合でも、行政の科学的検証などの場面で混入が認められてしまうと不適切表示となるため注意しましょう。

ここまで解説した内容はほんの一部で、他にも食品ごとに多くの細かいルールが存在しています。
食品表示は、複雑な仕組みのなか作成しなければならないため、食品表示法に関する勉強が必須です。

商品表示のミスは行政での処分を受ける

食品表示基準に定められた表示内容を守らなかった場合、行政より指示・命令が下されます。これを無視した場合、個人は「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」、法人は「1億円以下の罰金」に課される可能性があります。
また、安全性に重要な影響を及ぼす事項について、食品表示基準に従った表示をしない場合はリコールや回収、懲役や罰金対応が行われます。
出荷後に回収となった場合は、行政へ届け出なければならず行政のウェブサイトで公表されるため、企業やブランドのイメージダウンにつながりかねません。
食品表示には「氏名または名称」と「住所」が記載されます。そこに表示されている人が、表示や商品に対して責任があると考える消費者も多いです。 「たかが食品表示のミス」ではなく、会社の信用や存続にまで影響を与える可能性があります。

ここでも書かれている通り、食品表示はルールが細分化されており、複雑な仕組みに対応しながら作成する必要があります。
使用している原材料に変更が生じた際や、食品表示基準のルール改定があった場合は都度確認を行い、変更内容に対応しなければなりません。
正しい食品表示を作成するためには、正しい知識が必須です。

対処法としてはツールを導入して自作するなどがありますが、原材料からレシピ内容の登録を行うというコストに加えて手間がかかります。また、ツールにより作成された表示内容が正しいものであるか?を判断するためには食品表示に関する知識を持っている人材も必要です。

と、ここまで解説させていただきましたが、食品表示は一見シンプルに見えるものですが複雑な仕組みになっていますので、安心して消費者により良い商品を提供していくためにも、消費者の健康被害や行政処分などの重大なリスクをしっかりと軽減回避できる体制は必須と言えるのではないでしょうか。

それを実現するための「専門的な知識を有した人材」の確保と「業務の負担」を考えますと、“食品表示のプロ”にアウトソーシングすることは賢明な選択になり得るのではないかと考えます。

佐藤里帆

管理栄養士専攻を大学を経て管理栄養士を取得。
食品メーカーに勤務し、医療機関向けた商品提案や勉強会講師などを担当。
パーソナルジム会社にてレシピ作成や撮影、食品表示ラベル作成など商品開発全般に携わる。
現在はフリーに活動し、開発サポートやレシピ提供、コラム執筆などを行う。
アルデバランHP:https://www.aldebaran-food.com
個人ポートフォリオ:https://photos.app.goo.gl/4PJZjkWdj5k5W6Cj8

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