「紅麹」というキーワードが世間を賑わせています。
キッカケは、小林製薬が提供していた「紅麹コレステヘルプ」というサプリメントを摂取していた方から、多数の健康被害報告があがり、中にはお亡くなりになられた方も複数いらっしゃるということで、インパクトが大きい出来事のように感じています。
一般的な食品での健康被害も大きな問題ですが、今回の一件は国のお墨付きが付いているといっても過言ではない「機能性表示食品」であっただけに、世間へのインパクトは食中毒事件より一層強い印象ですし、摂取されていた方やそのご家族のお気持ちを察しますと、いたたまれない気持ちです。実態の解明が進んでいきますとともに、被害にあわれた方々が大事に至りませんことを願うばかりです。
問題が発生してから、様々なメディアで様々な視点からこの問題に対するコメントや見解などが述べられています。「情報の正しさ」という点ではメディアも誤った情報を発信しないようにと、細心の注意を払って報道に務めていることかと思いますが、報道が「伝えたこと」と消費者に「伝わったこと(解釈されたこと)」にはどうしても差異が生じるもので、語弊や誤解が生じてしまうことは多いにしてあることかと思います。
食品や栄養に関わる人間として、正しい情報の理解を深めていくとともに、少しでも世の中の方々にとって、正しい理解に繋がる一役となれれば幸いに思います。
そのような状況の中でも、
- 紅麹とは何か?
- 紅麹の危険性は?
- 小林製薬で何が起きているのか?
といったことは、既に多くのネット記事で解説されていますのでそちらを参考にしていただければと思います。ここでは、管理栄養士としてメニューやレシピの開発に携わらせていただいてきた経験や知見などを元に、食品を製造/提供する会社やお店が認識しておいた方が良いと考えらえる「現状の課題」と、その「解決策」について記させていただきます。
消費者の動向心理を理解する

まず、どうしても「紅麹=危険」という先入観が生まれてしまいがちな状況で、一部の消費者は十分な理解がなくとも紅麹またはそれに関連するもの全般を、それとなく避ける動向になると推察されます。
そういった取捨選択をする上での主な情報源としては、「メディア」と「食品表示ラベル」ではないでしょうか。一言でメディアと言っても、専門家ではない人がSNSを通じて情報発信するのが当たり前な時代ですし、誤った情報が拡散されて一人歩きすることも珍しくありませんから、正しい情報を選定するということも安易ではないように思いますし、既に誤った情報や偏見なども散見されています。
一例として非常にわかりやすいのが、ベニコウジ色素。
名前的にも敬遠されやすいと考えられますが、着色料としてのベニコウジ色素は色素成分のみを取り出した「食品添加物」であり、小林製薬で問題となっている「食品原料」とは異なるものと考えられています。また日本食品添加物協会からも、それぞれは異なるものであり、ベニコウジ色素で健康被害が出たことはないとして声明を出しています。
次に、紅麹は「発酵調味料」に含まれるため、そのキーワードに反応してしまう消費者もいるのではないでしょうか。ですが、当然ながら発酵調味料すべてに紅麹が含まれるわけではありません。
紅麹が含まれている可能性もありますし、含まれていない可能性もある。
となると、用心して避けようと思われる気持ちも理解できなくはありませんが、醬油や味噌なども発酵調味料ですから、発酵調味料の含まれない食品だけで食卓を営んでいくとなると、かなりの食品が選択肢から除かれることになってしまいますし、発酵調味料のうま味を味わえない食生活というのは、食卓にどこか物足りなさを生んでしまうような気がしてしまいますね。
取り扱っている食品の材料や成分を理解しなければならない

「自社で取り扱っている食品に、小林製薬が提供していた米麹原料は使用されていないだろうか」
と、食品に関わる全ての会社やお店が調査の必要性を強く感じていらっしゃるのではないかと思います。
厚生労働省によると、23年に製造された小林製薬の問題あった紅麹原料は52社に卸され、そこから約3万3000社に流通の可能性があると推察されていますし、様々な会社で商品の自主回収が進められています。自社で取り扱う食品が今回の一件による影響範囲に含まれていても、決して不思議なことではないように思います。
出回っている紅麹原料すべてが小林製薬のものとは限られませんが、紅麹市場の大半を占めているようですので、徹底した確認が必要になるのではないでしょうか。食品表示ラベルを確認したり、製造元に詳細を確認していくというアプローチが考えられます。
食品表示ラベルの原材料に表示がなくとも、紅麹が使用されているケースはある
食品表示ラベルには、材料として使用されているものが記載されていますので、消費者にとっても業者にとっても、確認の一手にはなります。
ですが、食品表示ラベルに記載がないからといって、紅麹が“使用されていない”とは断定できないところが、一般知識ではわかり得ない食品表示の複雑なルールとして存在しています。「複合原材料」の表示に関わるルールです。
複合原材料とは2種類以上の原材料を使ったものを指しますが、本来は複合原材料も原材料を記載するのが基本です。ところが例外があり、「最終製品に占める重量割合が5%未満」または「名称からその原材料が明らか」であれば、表示を省略できるというルールが存在しています。
つまり食品表示ラベルに記載された原材料情報は、事実がすべて見える化しているわけではないということですから、結局のところ企業側が材料や成分をしっかりと調査し、問題の紅麴が使用されていれば自主回収、使用されていなければその旨をしっかりと発信していく必要があると思います。
これまでに述べてきたことも、ネット上で調べれば知識や情報として入手することは安易ですが、「知る」と「わかる」、そして「わかる」と「できる」には大きな差がありますし、対応できる気になってしまったが故に重大な見落としなどが生じ、会社や事業の継続危機に陥ってしまうといったリスクは慎重に対応し、可能な限りヘッジしておく必要があるのではないでしょうか。
「餅は餅屋に任せる」という選択

小林製薬の問題における真相の解明が進められており、私もその行く末には関心をもって見ていますけれども、如何なる結果であっても健康被害が生じたことには変わりありませんし、会社やお店は市場が沈静化されるまでに様々な対応が求められることと察します。
専門性が求められる状況であるからこそ、専門家の知識をもって安心して対応を進められることが望ましい。となると、食品製造や材料、成分、そして食品表示ラベルの専門性を要する会社や有資格者のサポートを受けながら問題解決に務められると安心できるのではないでしょうか。
特に食品表示に関してはルールも複雑ですし、管理栄養士の私であっても十分な理解をするには時間と手間を要する分野です。
日々の運用においても、そのような分野のプロフェッショナルに伴走してサポートしてもらえれば心強く思いますが、今回のような有事を切り抜ける場合にも同様のことが言えるでしょう。
「フードガイドサービス」では、今回のような有事での対応も含め、総合的なサポートサービスを行っているようですから、一度ご相談などをされてみてはいかがかと思います。

特定の原料が社会的に疑問視されたときにお知らせと対応をサポートする体制が構築されており、「うちってこれ使ってるけ?」「差し替え対応したほうがいいのかな?」等の対応について自動的に課題の見える化・プロサポートを行われています。
今回のような「食の安全性」が問われる出来事には、業者も消費者も何度も直面させられてきました。どのような結末であったとしても、そういった経験から気付き、より安全安心な食生活の未来へと繋がっていきますことを心から願うばかりです。



